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「縮絨にこだわった」カシミヤニット

ニットの製作には「縮絨(縮充・しゅくじゅう)」という仕上げ工程があります。あまり馴染みのない言葉ですが、カシミヤの肌触りを決める、とても重要なステップです。
ニット工場で使う糸は、店頭で毛糸玉として販売されているものとは違い固くゴワゴワしています。編みあがったアイテムに水分を浸透させながら揉んでいくことで、繊維が互いに絡み合い収縮して厚みが増し、糸から毛羽がでて糸や布の組織が目立たなくなり、ニット特有のふわっとした状態になっていきます。

これまで製作をお願いしたアイテムは、同じ糸同じ編み方でも工場によって出来上がり異なることに気づき、この違いがどこから来るのか調べてみたところ、縮絨の工程で水に浸す時間、揉み洗いの加減、水洗い後の乾燥の仕方によって風合いが大きく変わってくるということがわかりました。
更に、同じ方法でも糸の種類や太さ、色によって仕上がりが少しずつ異なりますので、各工場では知識と経験を駆使して独自のレシピを開発しているそうです。

カシミヤ糸の魅力を最大限に引き出し、好みの仕上がりにするために自分でも縮絨ができないかと、編み上がりそのままの状態で納品していただき、東洋紡糸にもアドバイスをいただきながら、何とかたどり着いたのが、今回の「縮絨にこだわった」シリーズです。
自社で一枚ずつデータを取りながら水に浸す時間、洗いの長さ強さ等を変えかなりの数を試してみてみました。水洗い後も完全な自然乾燥で、フワッと優しく、しっとりとした滑らかさを目指しました。風合いの”ピーク”直前に抑えたつもりですので、ご家庭でお洗濯をするたびに更に増す柔らかさを楽しんでいただけるのではないかと思っています。

「縮絨にこだわった」カシミヤニット シリーズ